3: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 21:58:48.60 ID:UdHDSlcF0
「「「先生、さようならー!」」」
「さようならー。また来週ね!」
生徒の見送りを終えた後、教室内の片づけを始める。
「はあ」
思わず溜息がこぼれた。
細々と続けてきた合唱教室。そこへの入会希望者が最近増えてきたからだ。
それが私の指導力が認められたことに対する結果だったら喜ばしいものだろう。
けれど実際は違う。
最近売り出し中のアイドル、矢吹可奈が昔通っていたという話がかつての生徒による口コミで広まってしまったことによるものだ。
彼女はとても楽しそうに歌うらしい。
自分の子供もアイドルになれるかもしれないと考えた親、そうでなくてもアイドルを同じ教室に通わせたいと思ったミーハーな親に加えて、伸び伸び子供が楽しく過ごせると親まで様々な期待を抱いて子供たちを連れてくる。
その期待がすごく重い。だって私が最後に彼女へ送った言葉は最低のものだったのだから。
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