【ウマ娘】小さなトレーナーと白い奇跡【みどりのマキバオー 】
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:09:45.62 ID:OS/CCdyu0
その一言に最も動揺したのは執事のじいや。当のマックイーンはと言うと、顔色一つ変えずにただ黙ったまま主治医を真っ直ぐに見ていた。その姿勢にマックイーンの覚悟を見た主治医は、ハッキリと告げた。
「この怪我の中、よくぞここまで仕上げられました。足の筋力、関節の柔軟さ、どれも以前の状態に限りなく近い。歩行の状態から見ても痛みももう感じていないご様子。しかしながらここまで酷使してしまった以上、もはや手遅れです。今後、車椅子での生活を覚悟しておいてください」
マックイーンは自分の足の状態を何となくは察していた。あれだけの激痛が消えるほど過酷なトレーニングをしておいて完治などするはずがない。泥をかぶり、頭をかじられながら取り戻した走りは、所詮はかりそめ。限界を超えた先にあるエクストラターン。それこそ、今こうしている間にも儚く消えるかも知れない有限の中にあるものだとマックイーン自身も気付いていた。だからこそ時間が惜しい。一分一秒も無駄にはしたくはない。残された時間を使いたい相手を待たせているのだから。
「率直に聞きますわ。わたくしはあとどのくらいであれば全力で走れますの?」
主治医は対面する少女の瞳の中に気高き王者の威厳を見た。まだあどけなさを感じるが紛れもなくメジロの名を継ぐ者。当主メジロアサマより脈々と伝わる逆境を覆す力≠ェ彼女の中にも確かに受け継がれているのだと確信した。取り乱しながら答えてはならないと叫ぶじいやの言葉を無視し、主治医はマックイーンに告げた。
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