【ウマ娘】エアグルーヴ「たわけがッ! 今日が何の日か知らんとは……」
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61: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/10/13(水) 01:39:21.76 ID:gOpDRNwB0





「――そう言うわけで、今日はお茶会」
「お茶会……?」


 スイープトウショウは不思議そうに首を傾げた。

 今日はもともとトレーニングを行う日だったから猶更不思議なのだろう。

 今から何が起きるのかときょろきょろと所在なさげなスイープトウショウに、とりあえず席につくように促す。


「せっかくのお茶会だから、魔女様に相応しいものを持ってきたよ」
「魔女に相応しいもの……!」


 期待にキラキラと目を輝かせているスイープトウショウ。やっぱり心根は子供なのだな、なんて思いながらも、ゼンノロブロイと一緒に皿を並べていく。

 これはウマ娘だけではなく人間にも言える話だが、ある程度機嫌をよくすると細かいことを気にしなくなる。

 例えば今、スイープトウショウの目の前に並べられているスイーツ群の正体なんて、スイープトウショウは気にしない。

 彼女にとってはこれは魔女への供物であり、私たちが彼女を魔女と認めた証拠でもあるからだ。

 純真さに漬け込むような真似に、少し心が痛むけれど。


「さぁ、召し上がれ――」


 クローシュを開いて、その中身を露わにする。

 魔法がかかったみたいに、甘いにおいがふわりと漂って、空間をオレンジ色に染め上げる。

 あまーいパイと、スコーンと、クロテッドクリームと、ラスクと、クッキーと、ケーキと……。

 幸せをいっぱい。きっとこれは、人間の原初の魔法。


「紅茶も用意したからね、スイープ」
「……! 気が利くじゃない!」


 居ても立っても居られない様子の、魔法にかかった少女。目を爛々と輝かせながら、どれを食べようかと指を走らせる様はまるで不思議の国のアリス。

 紅茶を注いであげて、傍らに。彼女の耳が揺れるたび、ああ、スイープトウショウは魔法にかかっていくんだな、って思う。

 もひとつ紅茶を注いであげて、おまけに角砂糖を一つ。ミルクをひと回し。


「グランマも連れてきたかったなぁ……」
「お土産もありますよ、魔女様」
「ホント?!」


 ええ、と一つ呟いて、小包を見せる。

 とてもお優しいグランマ。彼女はスイープトウショウにとって大切な人だから、きっとこう言いだすと思って前もって準備していた。

 スイープトウショウは受け取り、満面の笑顔を浮かべる。さて、グランマは果たして気付くだろうか――。


「さて魔女様、お茶会が終わりましたらトレーニングのお時間ですよ」
「……ふん、いいわ、やってあげる!」


 ……とりあえず首尾は上々。あとは仕上げをご覧じろ……と言ったところか。

 にこりと笑顔を浮かべて、テーブルの上の品々を片付け始めたのだった――。





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