【ウマ娘】エアグルーヴ「たわけがッ! 今日が何の日か知らんとは……」
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41: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/08/01(日) 13:15:56.71 ID:P9TDvDr90



「と言っても、手紙に何を書くんだろうな」


 父親についてはわからないが、母親とキングの関係性にはある程度察しがついている。

 キングに事あるごとに連絡をよこし、やれスペシャルウィークの走りが良かっただのなんだのと、まるで走りを諦めさせるようなことを延々とよこしてきていた。

 まぁ、つまり。キングと母親の仲は――あまりいいとは言えない。

 もちろん最終的には少し改善されたとは思うが、思いたいが……。


「うーん。気になるな……」
「何が?」
「そりゃ、キングがどんな手紙を書いてくるのか――って、キング?! いつからそこに?!」
「今しがた堂々と入り口から。で、トレーナーは私がなにを書いたのか気になってるの?」
「まぁ、そりゃあ、ね?」


 俺のその答えに、キングはあっけらかんとして答えた。


「別に見せてもいいわよ。キングの書面を見れる光栄を噛み締めて見なさい!」
「え、いいの?」
「私がいいって言ってるんだから良いに決まってるじゃない。それとも見たくない?」
「見ます!」


 キングから手渡された手紙を食い入るように見る。

 そこには時候の挨拶から丁寧に自分の現状を語られていて……俺は思わず驚いてしまう。


「意外だ……」
「失礼ね?! 手紙くらいキングも書くわよ!」
「いや、そっちじゃなくて。もっと簡潔に書いてくるのかな〜って思ってたから、結構しっかりと書かれてて驚いたっていうか」


 ああ、とキングは頷く。


「対面じゃなくて手紙よ? 言いづらいことを込められるのがいいんじゃないの」
「あー。確かに対面じゃ言いづらいことも、手紙だったら書けちゃうよな。……ってことは、本心はこんな感じなのか?」
「……親に褒められたくない子なんていないと思わない?」
「同感だ」


 そう言えば、キングは微笑みを浮かべて、便箋を封筒に入れて、シーリングスタンプを押した。

 切手を貼れば、それを持って外に出ようとしたので、俺もついていく。


「そう言えばキング、家には帰らないのか?」
「? まだまだ早いわ」
「そうか? 家に帰るのに早いも遅いもないと思うけど……」
「そういう意味ではないのよね……」


 ぼそりと、キングが何かを呟いた。

 ただ、その言葉は俺の耳に届かなくて。

 何か言ったか、なんて聞けば、キングは振り返る。


「ナイショよ」


 夕陽に照らされたその表情があまりに綺麗で。

 俺は黙って頷くことしかできなかった。




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