【ウマ娘】エアグルーヴ「たわけがッ! 今日が何の日か知らんとは……」
1- 20
35: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/07/27(火) 20:06:05.95 ID:h0ubBXHG0



 あれから数日が経った。どうやら期限は今週いっぱいらしく、グラスのクラスに行くと、スペシャルウィークとエルコンドルパサーがうんうん唸っていた。

 逆にグラスは特に問題なく書くことができたようで、早い段階から「楽しみですね」なんて余裕の笑みを漏らしていた。

 特にグラス、こういうの得意だからなぁ。ファンレターへの返信も丁寧だし。


「……ん? これは……」


 床に落ちている紙片が目に入り、僕はそれを取り上げる。

 どうやらグラスの落とし物のようだ。多分手紙の草案だと思われるそれは、優美な模様が入っていた。

 インクの染みがうっすらと見えるので、確実に中には手紙の内容が書かれているんだろうな、と思った。

 だからと言うべきか、僕の好奇心は手紙に向かう。グラスは内緒と言っていたけれど、どんなことを書いているんだろうか……と思って。

 ゆっくりと、静かに、手紙を開く。


「トレーナーさん、落とし物が……」
「……あ」
「……」
「……」


 目が合って。その後、グラスの視線が、僕の手元に落ちて。


「……読み、ました?」
「いやまだ読んでないよ?!」
「……”まだ”?」
「あ゛っ゛……」
「トレーナーさん……」


 瞬きをしたその直後、グラスの顔が僕の視界いっぱいに近づいた。

 手紙を握っていた手は、グラスに掴まれて――。

 近いしなんかいいにおいするけど、それ以上に――目が笑ってないのが怖すぎる。

 そのままグラスは僕の耳に口を寄せて、耳打ちする。


「トレーナーさんには一番見られたくないものですので……返してもらって、いいですか?」
「ひゃい……」
「よろしい」


 ぱっ、と離されて、手紙も奪い取られる。

 いつも以上の距離にドキドキしていると、グラスはいつもの笑みに戻る。

 ……グラスは怒らせないほうがいいな、って思った。


「それでは、失礼しますね、トレーナーさん」
「あ、うん……。おつかれさま」


 ぴしゃり、と扉が閉じられ、グラスは退室する。

 脚の力が抜けてへたりこめば、思考だけはクールダウンする。

 ……そんな思考に、ふと疑問が過る。


「……にしても、僕には聞かれたくない内容っていったい何だったんだろう?」


 ……なんだかいつもより、グラスの顔が赤かった理由って、何だったんだろう?



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
70Res/89.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice