【ウマ娘】エアグルーヴ「たわけがッ! 今日が何の日か知らんとは……」
1- 20
34: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/07/27(火) 20:04:50.02 ID:h0ubBXHG0
「おはよ……って、グラスワンダーが居ない……?」


 開いた扉の先には、見慣れたトレーナー室の光景。

 ただ、いつもは僕より先に来ているグラスワンダーの姿がなかった。

 おかしいな、放課後になったら速攻此処に来てるらしいけど……。

 今日は何かあったのかな。

 ……なんてことを考えていると、トレーナー室をノックする音が聞こえた。

 どうぞ、と答えると、いつも通り控えめで、だけど芯がある声が、室内に響いた。


「トレーナーさん、遅れて申し訳ありません〜」
「いや、何ならまだまだ時間があるからいいんだけど……今日はどうしたの? 珍しく遅かったね」
「実は、スペちゃんたちと手紙を書きあうことになりまして〜」


 なるほど、と息をつくけれど、何も理解しちゃいない。

 スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、セイウンスカイ、キングヘイロー……彼女たち五人はかなりの仲良しで、しばしば一緒に遊んだりトレーニングをしている姿を見かける。

 だが、手紙を書きあうなんて文化的なことをやったことはなかった気がした。失礼だけど、エルコンドルパサーはその手のこと、苦手そうだし……。


「トレーナーさん?」
「あ、いや! 珍しいななんて思ってないよ?」
「珍しいな、って思ってたんですね」
「……。まぁ、正直に言えば」
「ですが、まぁ。そんな感想も頷ける話ではありますよ?」
「……と、言うと?」
「実は、私から手紙を書いてみないか、って提案したんです」


 今度こそなるほど、と思った。

 スペシャルウィークは直接想いを伝えるタイプだし、エルコンドルパサーもそう。セイウンスカイはそもそもはぐらかしそうだ。可能性があるとすればキングヘイローだけど、彼女にしては提案に華がない。

 だから、グラスが提案したと聞いて納得した気持ちになった。


「なるほどねぇ。じゃあ、手紙の用意をしてたってこと?」
「そうなりますね〜」
「そっか。ちなみにテーマとかはあるの?」
「変にテーマを決めると、手紙を書きなれていない子がいるので……」
「ああ……」


 主にエルコンドルパサーのことだろうな、と思う。


「じゃあ、グラスはどんなことを手紙に書くの?」
「そうですね……」


 グラスは少し考えこんで、いつものふわふわとして、つかみどころのない笑みを浮かべた。

 この微笑みが出るとき、僕は何というか、竜ににらまれたように追及できない。

 多分グラスにとってもこの微笑みはそういうものなんだろうな、とも思ってる。

 そして。


「内緒です♪」


 ……やっぱり、はぐらかされた。

 こうなると梃子でも動かないのがグラスだ。


「まぁ、手紙の内容なんて送り主以外に話すことでもないしね」
「ええ。……トレーナーさん、そろそろトレーニングの準備があるので、私はここで失礼しますね〜」
「あ、うん。気をつけてね」
「ええ、それでは〜」




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
70Res/89.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice