【ウマ娘】エアグルーヴ「たわけがッ! 今日が何の日か知らんとは……」
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2: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/07/16(金) 00:37:45.30 ID:YZ47s4oM0
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「貴様ッ、また仕事にかまけて寝てないな!」
「……あはは。わかっちゃう?」
「まったく……! あれほど寝ろと言い付けておいたのに……このたわけ!」


 朝から物凄い剣幕で怒鳴っているのは、僕の担当ウマ娘――エアグルーヴ。

 普段から(一応は)年上の僕を「貴様」呼びしたり、事あるごとに「たわけ」と叱るウマ娘だ。

 そんな彼女は生徒会の副会長。気位が高いのも頷ける。常に生徒たちの模範であろうという意識も、気位の高さに拍車をかけている。

 要するに、とても凄いウマ娘なのだ。なんで僕がトレーナーになっているかわからないくらいには――。


「おい貴様、話を聞いているのか?」
「ごめん、ぼーっとしちゃって」
「たわけが……。集中力の低下は睡眠不足の典型的な症状の一つだ!」
「でもそうしなきゃ終わらない仕事があったから……」


 トレセン学園におけるトレーナーの仕事は、それなりに多い。

 担当ウマ娘の体調等の管理や、出走レースの提案、出走する場合は出走に際する処理など――。

 それに加えて、練習等にかかった費用などの稟議書作成や、育成に関する報告書の作成……。

 ウマ娘とのトレーニングの時間は削れないから、一番削りやすいものを削った。それが睡眠だった、という話で。

 エアグルーヴも副会長。仕事が多いだけに感じたことがあったんだろう。じっとりと僕のことを見つめて、深い、深い溜息を吐いた。


「……貴様がいつも、私のために時間を割いてくれているのは解っている。それが貴様の身に強い負担をかけていることもな」
「――そんなこと!」
「心情はどうあれ、事実だ。トレーニングの時間を減らせば、それだけ貴様にかかる負担は少なくなる。そうだろう?」
「それはそうだけど……」


 正直、確かにね、と思ってしまう。

 でも、エアグルーヴとのトレーニングの時間を減らすことはできない。

 かの”女王”に並ぼうと努力しているエアグルーヴを僕のわがままで止めてはいけないし、止めたくもない。

 どれだけ無理をしてでも、僕は彼女を――目下の目標である秋華賞に勝たせなければいけない。

 トレーナーとして、当然の責務だと思っている。


「だけど――」
「”だけど”……何だ? 私の歩みを邪魔したくない、などと考えてはいないだろうな」
「……よくわかったね」
「――たわけがっ! だいたいお前はな――」


 ぐら、と視界が揺らいだ。全身に巡っていたはずの血の温かさが消えていく。

 あ、これヤバいかも――そう思った時には、僕の体は傾いていた。

 流れる視界。コンクリートが映り、でも体は動かせない。

 地面に倒れ伏せる瞬間、遠くからエアグルーヴが僕を呼ぶ声がした。

 心配――かけるだろうなぁ。


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