【ウマ娘】エアグルーヴ「たわけがッ! 今日が何の日か知らんとは……」
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11: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/07/19(月) 17:10:41.17 ID:/dmU8I1q0



「着いたよ、トレーナー!」
「……普通の書店だ」
「え? 普通の書店だよ?」
「いや、うん。ルドルフさんが使ってる書店だっていうから、もうちょっとこう……オシャレなものを想像してた……」
「ちょっとわかるかも。カイチョーだったらこう……。びしっと決めたおじいさんが店主してるお店とかで、眼鏡キラーン! ってさせながら本探してそうだもんね!」
「いや、そこまでは……」


 ……でも、確かに似合いそうではあるな。なんて思ってたら、テイオーに腕を引っ張られて店内へ。

 中に入ってみると、やっぱり普通の書店なんだな、と再確認する。

 特別目につくところはない。駅前にある少し狭めの書店だな、という印象。

 テイオーが目的とする場所は少し奥まった場所にあるようで、引っ張られるままに向かう。


「よし、ここだ……!」
「えーっと……。単行本、諸芸・娯楽――?」


 皇帝のイメージにはそぐわない本が揃っているコーナー。それが私の抱いた第一印象だった。


「カイチョーが言ってた本ってこれだったっけ……」
「”究極のウケを狙え! 必殺ダジャレ百連発”……?」


 はた、と気づいた。ルドルフさんには悪癖が一つだけあったことに――!

 それは、壊滅的なまでのジョークセンス。

 ありとあらゆることが完璧に見えるルドルフさんだからこそ、際立って見える。

 どうやら、エアグルーヴさんもルドルフさんのジョークセンスには苦悩しているらしい……。

 そんなセンスまで、テイオーは真似しようとしている。なんとなくだが、それは駄目な気がして。


「て、テイオー! あっちにいい感じの本があったから、そっち見よ?」
「えっ、トレーナー? いきなりどーしたのさ……?」
「ほら、この本とかよさそうじゃない?!」


 破れかぶれに、近くにあった本を指さす。


「……ぇ? と、トレーナーって……もしかしてそういう……?」


 テイオーの顔が、見る見るうちにゆでだこみたいに赤くなっていく。

 見慣れない反応。だけど、その表情が意味するものをちょっと理解してしまって……。

 私は、油が差されていない機械みたいに、ギギギと首を本の方へと向ける。

――”白百合学園の事件簿〜弱気な陸上部顧問と、強気な陸上部エースの秘め事〜”と題されたそれ。

 表紙に描かれているのは、女性同士で絡み合う、中学生くらいの女の子と大人の女性。

 何故か、運命的なまで私とテイオーに似ている登場人物が――その、R-18的行為を行うであろう、漫画。


「……?! こ、これは違うの!」
「ぴっ……?! と、トレーナー! 確かにボクはトレーナーのことが好きだけど、そーいうことをするにはまだ早いっていうか!」
「違うんだよ、テイオー?! これは偶然指さしちゃっただけで……!」
「わかってる、わかってるから――少し落ち着く時間がほしーなーっ!!!」


 ばびゅん、と。今までに見たことがない速度でトレセン学園へ向かうテイオーを、私は見送ることしかできなかった……。





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