【ウマ娘】エアグルーヴ「たわけがッ! 今日が何の日か知らんとは……」
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10: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/07/19(月) 17:09:23.93 ID:/dmU8I1q0
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「トレーナー! 今日付き合ってよ!」
「テイオー、いきなりどうしたの?」
「買いたいものがあるんだー。ね、一緒に買い物いこーよ―」


 小さな手が、私の腕を掴む。

 トウカイテイオーはいつだって私の腕を引っ張ってくれて、私はそれが大好きだった。

 この手に連れていかれるのであれば、たとえ地獄であろうとも向かってもいいと思っているくらいには。


「トレーナー? また変なこと考えてるでしょ?」
「え? ああ。ごめんなさいね。少し考え事をしていて……」
「もー! そんなんじゃ甘いよ、これから行くのは”皇帝”ご用達のお店なんだからっ」


 皇帝……シンボリルドルフさん。テイオーが憧れている最強の三冠ウマ娘だ。

 彼女のあり方はテイオーに強い影響を与えているけれど――時折妙な方向にテイオーが突き進む原因にもなっている。

 今回は妙なものでなければいいんだけど……。


「む、トレーナー、何か疑ってるー?」
「疑ってなんかないよ! ただ、皇帝御用達のお店ってどんなお店なんだろうって思って……」
「ふふーん。それは行ってみてのお楽しみだよ、トレーナー!」


 テイオーはいつも通りのドヤ顔をこちらに向け、白い歯を見せる。

 最初のころはこの笑顔がとても頼もしく見えたけど、今となっては――少し怖い。

 いや、テイオーが怖い、ってわけじゃない。なにが起こるのかわからないという意味で、怖い。

 テイオーのお転婆ぶりは私もよく知るところ。だからテイオーが悪いわけでもないんだけど……。


「トレーナー、行くよ?」
「あ、ごめん。……どこに行くんだっけ?」
「あー、聞いてなかったんだぁ……? いっけないんだー。人の話はちゃんと聞かなきゃ!」
「うっ……。その通りだ、ごめんねテイオー」
「はちみーで手を打とうじゃないかー!」
「濃いめ固め多め、だよね」


 わかってるねトレーナー!、とテイオーは握った手をぶんぶんと振る。

 どうやら機嫌を直してくれたようだ。


「それで、どこに行くのか改めて教えてほしいんだけど……」
「どこって、皇帝御用達のお店だよ?」
「具体的に、それは何のお店なのかな?」


 テイオーの視線が「待ってました!」とにやついた。


「――書店だよ、トレーナー!」
「ああ、書店ね……書店?」


 皇帝御用達の書店……?



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