【シャニマス】芹沢あさひ(17)「わたしも、変われてるっすか?」
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53:名無しNIPPER
2021/07/26(月) 17:34:01.10 ID:hYzIfmgQ0
 いつのまにか、目の前にグラスが置かれていた。冬優子ちゃんの前にブルームーン、わたしの前にスプモーニ。さっき言ってたのを覚えた。

「じゃあ、カンパイ」

 冬優子ちゃんは三角に足が生えたみたいな不安定そうなグラスを指で摘んで、軽やかにわたしの方に傾けた。

「いただき……ます」

 わたしのグラスは普通の水を飲むやつみたいな円錐形だったけど、どうやって持てばいいのかわからなくて、両手の指先で繊細に持った。合っているかどうかはわからない。
 グラスをぶつけるのかと思ったら、触れない程度で離れていったので、慌てて引っ込めた。音は鳴らなさいんだ。

 冬優子ちゃんのお酒は、ブルームーンという割には青くなかった。どっちかというと紫っぽい。愛依ちゃんの色だ。
 わたしのスプモーニは、オレンジ寄りの明るい赤だった。こんな赤い食べ物トマトくらいしか知らない。でもトマトの味はしない。よく考えたら、わたしの色だ。
 苦い。お酒は入っていないと思うけど、なんだかちょっぴり大人な気分になった。

「なんで急に大人なお店なんて行こうと思ったのよ」

 静かにグラスを置きながら、冬優子ちゃんが前を向いたまま尋ねてきた。店員さんを横目で見ると、程よく離れたところにいて、会話は聞こえてなさそうだった。

「えっと……」
「……いや、あんたももうガキじゃないしね」

 冬優子ちゃんが脚を組み直す。

「なんとなく、まあ、言わなくても良いわよ」

 スプモーニは苦い。

「そうですか」
「敬語も少しはマシになってきたし」


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