結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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812: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:38:44.41 ID:7SptLiMdo


 ショチトルは病院のベッドの上で静かに眠りについていた。
 カエル顔の医者が言うには命に別状はないらしいが、あまり良い状態とは言えないらしい。
 肉体の三分の二を失い、それをまがい物の肉で埋められているのだからしょうがないことなのだろう。
 

海原「…………」


 ベッドの横にある椅子に座っている海原が、見守るように少女を見つめる。
 なぜこんなことになったのか。どうして彼女がこんな目に合わなければならないのか。
 疑問は尽きないが、今考えたところで何も解決はしない。
 今は、彼女がこうして生きていてくれている状況に感謝しなければ。


海原「……また来ます」


 海原は呟いて、音を立てないよう静かに病室から廊下へ出た。


海原「……おや、二人共いらしていたのですか?」


 病室の前には二人の少女がいた。
 
 
番外個体「ヤッホー☆」


 一人は番外個体。海原と同じ『グループ』の構成員の一人。
 今朝の作戦で左肩を脱臼するという怪我を負った為、治療のため肩にサポーターを取り付けている。
 本人はそのことを気にしていないのか、ケラケラと笑いながら手をこちらへ向けて振ってきていた。
 
 
黒夜「…………」


 もう一人は黒夜海鳥。同じく『グループ』の構成員。
 少年院の中での戦闘で苦戦を強いられたのか、体のいたる所に包帯やらギプスやらで処置されている跡が見られる。
 傷付いた野犬のように鋭い目を海原に向けていた。


黒夜「敵を助けるなんてアンタどうかしてるよ。コイツが回復した途端、私らに牙を剥いてきやがったらどうするつもりなのさ?」


 海原の背中にある扉へ向けて顎で指して言う。
 たしかに彼女の言う通り、今この病室で寝ているショチトルは暗部組織『メンバー』の構成員の一人だ。
 つい半日前には敵対関係にあって交戦していたことも事実だ。
 




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