810: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:36:55.23 ID:7SptLiMdo
初春「え、えっと、あはは……」
と、愛想笑いのようなものをしながら初春は目線を右往左往させていた。
埒が明かないな、と思い結標が動く。
結標「その、初春さん?」
初春「は、はい!」
結標「貴女はどうして私に会いに来たのかしら?」
率直な疑問をぶつけてみた。
結標は自分がそんな大した人間ではないことを理解しているつもりだ。
そんな羨望の眼差しで見られたり、何かを期待してもらえるようなそんな立場にはいない。
だから、結標はそう聞いた。
初春「へっ? え、ええっと……」
聞かれた初春は戸惑ったようなリアクションを取った。
まるで授業中にぼーっとしていたとき、突然先生に当てられた生徒のように。
少し考えたあと、少女は困った感じの表情を向けてきた。
初春「その、え、えへへ、な、なんでしたっけー?」
結標「?」
雑な質問で返された。
そのため結標も首をかしげるくらいしかリアクションができなかった。
二人のやりとりを隣で見ていたツインテールの少女が顎に手を当てながら、
黒子「何を言っていますの初春?」
初春「白井さん?」
黒子「貴女、殿方二人が大切に思っている人がどんな人なのかとか――」
初春「ちょ、ちょちょ白井さんストップ!! わー!! わー!!」
黒子の言葉を遮るように声を上げる。
黒子「何をそんな大声上げていますのよ貴女は?」
初春「そりゃ本人の前であんな恥ずかしいセリフを言われそうになってるのだから、阻止だってしますよ!」
黒子「別にあの程度で恥を感じることはないと思いますが。わたくしならお姉様への愛の気持ちなら校庭のど真ん中でも叫べますわよ? 一切の恥じらいなく」
初春「私は白井さんのような恥知らずとは違いますので」
黒子「は? 貴女今なんとおっしゃいました?」
お見舞いに来ているはずの二人組が病室で口論を始めた。
ギャーギャー騒がしい声が部屋の中を飛び交う。ボクシング一ラウンド分くらいそれは続いた。
言うことを言った二人は息を荒げていた。
初春「ぜぇ、ぜぇ、む、結標さん。これお見舞いの品です」
唐突に初春が桃色の箱を結標へと両手で差し出した。先程の会話をさらりと流したつもりなのだろうか。
よくわからないが余程お見舞いに来た理由を言いたくないのだろう。
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