776: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/15(土) 23:52:56.78 ID:2z6G7I5Go
結標は決意した。
少女は自分の腕を一方通行の首へ回し、引き寄せるように身体を密着させる。
彼の全てを受け入れるように。彼の全てを迎え入れるように。
二人の距離がゼロとなる。
ザザザッ!! 一方通行の背中から噴射する翼が、結標の腕を掠めるように接触した。
皮膚が剥げ、肉が千切れ、血液が飛び散る。意識を刈り取ってしまいそうな激痛が襲いかかってくる。
結標「一方通行……」
しかし、結標は臆することなく少年の耳元で囁く。
結標「……もういいわよ、一方通行」
――なぜこんなことを言っているのだろうか。
結標「貴女は十分頑張ったわよ」
――こんな言葉をかけていい資格なんて、私にはない。
結標「これ以上頑張らなくてもいいのよ」
――そんなことは十分わかっている。
結標「こんな辛い思いなんてしなくてもいいのよ」
――けど、そんなことは関係ない。
結標「私はもう大丈夫だから」
――『私』がそうしろと言っているんだ。『私』がそう言えって言っているんだ。
結標「私はちゃんとここにいるから」
――私にとってはそれで十分なんだ。
結標「だから、そんな似合わないこと、無理してやらなくてもいいのよ」
――なぜなら私は、
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