結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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769: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/15(土) 23:47:34.91 ID:2z6G7I5Go


 ダンッ!!


 見えない何かが佐久と激突した。
 トラックと正面衝突したような衝撃が、佐久の体全体に襲いかかる。
 彼の体はなすがまま後ろへ吹き飛ばされ、後方にあった硬い壁へ背中から叩きつけられた。
 肺に溜め込んだ空気が一つ残らず漏れ出ていく。


佐久「――ごぷっ」


 佐久へ与えられる苦痛はまだ終わらない。
 叩きつけられた体がそのまま壁に磔にされた。その見えない何かに押し付けられて。
 プレス機のように重く、ゆっくりな力で圧迫されて、肉体が壁の中へとめり込んでいく。
 圧力と壁に挟まれ、全身の骨がミシミシと悲鳴を上げる。内蔵が締め付けられて、体の穴という穴から血液が滲み出てきた。

 佐久をただただ破壊するためだけの現象。それを引き起こしているのは間違いなく、


土御門「やめろ!! 一方通行!!」


 土御門はその者を呼ぶ。一対の黒翼を携えた怪物を。
 彼の言葉に一方通行は反応を示さない。


土御門「オレたちとした取引条件を忘れたか!? ここでお前がヤツを殺してしまうと、お前はもう一生戻れなくなってしまう! お前が守りたかったあの世界へだ!」


 『お前は殺すな』。土御門が出した条件。
 その意図は、この一件を終わらせたあとに彼を元の世界に帰すために出したもの。
 汚れ役は自分たちだけで十分だ。土御門はそう考えていた。


土御門「人質となっていた結標は解放された! お前の目的は既に達成されたはずだ! これ以上の行動は何も生み出さない! 無意味なことにチカラを使うのはやめろォ!」


 土御門の必死な説得は、



佐久「――あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」



 バキィ!! 痛々しい叫びを上げる佐久の後ろの壁に大きなヒビが入った。
 それは謎の見えない力の出力が増幅したことを意味する。


一方通行「etijht壊osa」


 土御門の言葉は彼には届かない。
 理性が跡形もなく粉砕され、破壊衝動に支配された一方通行。
 背中の黒い翼が彼の殺意に呼応するかのように、爆発的に天井へ向けて噴射された。


―――
――






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