結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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746: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/08(土) 11:46:10.30 ID:Q+V+Oj11o


 ゴガッ、と上条の鉄拳を垣根は腕をクロスすることで防御する。

 その衝撃で垣根の体が二メートルほど後ろへ下がった。
 腕に痺れを感じているのか、垣根は手を握ったり広げたりしながら、


垣根「一応、俺の体にはオートで能力の防衛機能が働いてたんだがな。相変わらず、気持ちの悪いみぎ――」

上条「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」


 垣根が言い切る前に上条は叫びながら再び右拳を振りかざす。
 大ぶりで腕を振り回すように放たれた右ストレート。
 チッ、と垣根は舌打ちをしてからそれを飛び越えるように跳躍して避けた。

 バサリ、と空中に滞在する垣根の背中から六枚の天使のような白い翼が現れる。
 
 そのうちの一本が巨大な杭となって、上条当麻の心臓を貫くために射出された。


 バキン。


 上条はまるで投げられたボールを掴むように杭を右手で捕らえ、握り潰した。
 静かに床に着地した垣根がそれを見て、忌々しそうに言う。


垣根「ホント、何なんだその右手? スキー場んときは何かの間違いかと思っていたが今ので確信したよ。テメェは異常だ」

上条「そうだよな。俺ってホント馬鹿だよな」

垣根「はあ?」


 一見、会話になってそうでなっていない上条の返答を聞き、垣根は眉をひそめた。
 それもそのはずだ。上条は自分に対してその言葉を言ったのだから。


上条「たしかに俺はヒーロー気取りの大馬鹿野郎だよ。勝手にそれが自分の『役割』だと思い込んで、一人で勝手に背負い込んでたんだからな」

上条「本当のヒーローは俺なんかじゃない。結標淡希っていうヒロインを助け出すのは『アイツ』なんだよ。俺はせいぜいそれを傍から見守るだけのエキストラだ。通行人Aだよ」


 上条当麻は誰かに問いかけるように続ける。


上条「だったらさ、通行人Aの俺が出来ることってなんだろうな? 俺の『役割』ってなんなんだろうな?」


 上条当麻は睨みつけるように垣根を見る。その瞳は先ほどまでの迷いのあった少年のものではない。
 希望のような、勇気のような、進むべき方向を見つけた、ハッキリとした意思を持った目だ。


上条「そんなの決まってんだろ? ヒーローとヒロインが一緒に困難を乗り越えようとしているのに、それに水を差すどころか泥水をブッ掛けようとしてるヤツが目の前にいるんだ」


 上条は右腕を真横に広げる。道を塞ぐかのように。





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