結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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717: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/01(土) 12:04:30.39 ID:31eSI50lo


砂皿『こちらは狙撃場所を裏門から正門へと移動しているところだ。裏門では五人殺したが、一人逃して中への侵入を許した』

垣根「ほぉ、お前の狙撃から逃れるヤツがいるとはな。どんなヤツだ? 会ったらついでに殺しといてやるよ」

砂皿『年端も行かぬ少女だった。赤いセーラー服を着て茶色い髪をした』

垣根「……ああ、アイツか。俺もアイツにはムカついてたんだ。ぶち殺す楽しみが増えたぜ」


 垣根が不気味に笑う。彼の言葉からして砂皿が逃した少女について何か心当たりのようなものがあるらしい。


垣根「じゃ、俺は今から表ルートで独房へ向かう。たぶん、一分もかからねえんじゃねえかなぁ」


 そう言うと、垣根の背中から天使のような三対六枚の翼が現れた。
 垣根は軽く足元を踏み付ける。彼を中心に直径五メートルくらいの大穴が床に開いた。まるでいきなりそこにあった床が無くなったように一瞬で。
 床がなくなったため、垣根の体は重力に従い地下へと落下する。カツン、と革靴の音を鳴らし何事もなかったかのように床へ着地した。


警備兵D「なっ、何者だ貴様!? もしや例の侵入者だな!!」


 垣根は気付いたら警備兵たちに囲まれていた。
 人数は六人。狭い通路で。もちろん全員武装した男たち。


 グシャ。


 勝負は一瞬で決する。
 警備兵たち全員の腹部に真っ白な巨大な杭のようなものが突き刺さり、大穴を開けた。
 垣根の背中から伸びた六枚の翼が変形した物だ。
 必殺の一撃を受けた警備兵たちはダラリと全身の力が抜け、持っていた銃火器を離し、床に崩れ落ちていった。

 そんな状況を知る由もない海美が電話越しに語りかける。


海美『一分で着くのなら、ついでに座標移動の方も確保してくれればいいのに。たぶん、一緒にいるのでしょ?』

垣根「ハッ、馬鹿言うなよ。何でこの俺がそんな三下みてえな雑用をやらなきゃいけねえんだよ」


 周りに転がる死体を気にすることなく、通路を歩きながら垣根は続ける。


垣根「それに俺のターゲットは片手間で殺れるようなヤツじゃねえ。だから、そんな雑魚に構ってられるかよ」

海美『そう。それは残念。じゃ、また独房で会いましょ?』

垣根「ああ」


 そう一言返して垣根は端末を切った。


――――――





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