結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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648: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/25(土) 23:17:33.73 ID:jaU2C2/Fo


S7.前夜


 火災を起こしていた櫻井通信機器開発所の建物の火は、なんとか一時間ほどで鎮火した。
 今は死傷者の捜索でアンチスキルが駆動鎧を着て建物の中をせわしなく歩いている。
 建物が燃えている間に逃げ遅れた人の救助活動をしたり、それを妨害しようとした暗部組織の下っ端らしき男たちを打ちのめして拘束したり、
 いろいろと奮闘していた黒子は、敷地の端のフェンスにもたれ掛かりながら体を休めていた。
 制服の焼け焦げた部分を見て、買い換える決心をしている黒子の携帯端末に着信を表す電子音が鳴り響く。
 耳に付けている端末のボタンを押して、電話をつなげる。


黒子「はい、白井です」

初春『初春でーす。救助活動お疲れさまでしたー』

黒子「……ほんと、疲れましたわ」


 ツートーンくらい低い声で答える。
 空間移動(テレポート)の演算難易度は他のポピュラーな能力に比べて高度だ。一回使用するエネルギーが桁違いということになる。
 そんな能力を、この短時間で百は超える回数使った黒子の疲労度は言うまでもないことだろう。


初春『上条さんとは合流できましたか?』

黒子「いいえ。救出活動中は火の上がっていないところは全て捜しましたが見つかりませんでしたの」


 その間に十数人ほど逃げ遅れた人を外へテレポートさせたりしたが、もちろんその中に上条の姿はなかった。


初春『ということは火が起こった場所にいて、一酸化炭素中毒を起こし気絶して焼死体になっちゃった、っていう可能性が高いってことでしょうか?』

黒子「言い方が悪いですわよ」


 げんなりしながら黒子は続ける。


黒子「その可能性はないとは言いませんが、あの類人猿がそう簡単にくたばりやがるとは思えませんの。脱出してどこかへ行った可能性のほうが高いかと」

初春『そうですよね。でしたらもう一度監視カメラの映像をハックして上条さんを捜すとしましょう。といってもその周辺は暗部の人たちにカメラ潰されているから望み薄ですけどねー』


 向こうの電話口からキーボードを叩くと音が聞こえてきた。またグレー行為を平然と。
 黒子はため息交じりに聞く。





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