結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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630: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 22:51:29.24 ID:loyT3wilo


フレンダ「……はぁ、はぁ、ま、間に合った?」


 フレンダが爆風から目を腕でかばいながら辺りを見回す。
 爆煙に埋め尽くされて通路が今どうなっているのかが見えない。
 予定通りなら、煙が晴れると両足を失い地面に這いつくばっている結標淡希の姿が現れるはずだ。
 だが、現実はそうではなかった。


フレンダ「…………」


 煙が晴れた爆心地には爆発の炎で黒焦げた床しか目に映らなかった。
 人一人どころか物一つすら落ちていない。


フレンダ「……はあ、やっちゃった」


 フレンダは体中の力が抜けて地面にへたり込んだ。
 ぼーっと何もない空間を眺めながらフレンダは後悔の念に駆られていた。


フレンダ(結局、いくら偶然だったとはいえ、表の世界で不用意に彼女と接触してしまったことが失敗だったって訳よ。あーあ、ほんと何やってんだろ私……)


 フレンダは懐から携帯端末を取り出してミュートを解除する。


フレンダ「えっと、こちらフレンダ。ごめん、失敗しちゃった」


 フレンダの言葉に返事はなかった。
 全員の回線がオープンになっていることから聞いていないわけではないだろう。
 ただ、その事実を受け入れられないだけなのかもしれない。自分たちは任務を失敗したという事実を。
 そんな中、口を開いたのは滝壺理后だった。





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