515: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/11/28(日) 00:05:43.53 ID:MJMUKdI8o
一方通行の中にはすぐコンタクトの取れる宛が二人いた。
一人は木原数多。元暗部組織『猟犬部隊(ハウンドドッグ)』に所属していた男。
現在はその猟犬部隊が解体された為、表の世界で『従犬部隊(オビディエンスドッグ)』という会社を立ち上げ、なんでも屋の仕事をしている。
そのはずだが、近隣の住民の信用をまだ得ていないためか、依頼の入ってくる仕事はほとんどが殺しや盗み、運びなどの裏の仕事らしい。
ちなみにそのなんでも屋の業務の一環で、自宅に大人がいないときに打ち止めを預かる、保育園の代わりのようなこともやっている。
一人は土御門元春。暗部組織の中でもトップシークレットに当たる組織『グループ』に所属している男。
通常時は一方通行と同じ学校、同じクラスに通う学生をしている。
暗部絡みの問題に巻き込まれたときのサポートや、一方通行や結標への裏からの働きかけを処理しているなどと、その日常を守るために尽力しているように見える。
一方通行(コイツらなら裏の顔も利くだろォし、やろうと思えば結標の確保も容易にやってのけるだろう)
一方通行(だが、今となったらコイツらも信用できるかわからねェ)
一方通行(なぜなら俺はアイツらの真意を知らねェからだ。今まで手を貸してくれていたのも、今日の件を見越してのことかもしれねェ)
一方通行(木原に至ってはそれらしい行動が一つあった。遊園地でのことだ)
一方通行は結標淡希に自分の過去のことを話した。
『絶対能力進化計画(レベル6シフト)』。
『打ち止めと一方通行のこと』。
『結標淡希の記憶喪失のこと』。
しかし、これらのことを一方通行の口から話す前から結標淡希は知っていた。
話す直前に木原数多が彼女にそれらのことを話していたからだ。
一方通行(それが原因で記憶が回復する可能性だってあった。つまり、木原は記憶喪失が回復した結標が必要だという見方もできるっつゥことだ)
つまり、この二人に協力を仰ぐのは危険だ。
そう結論付けた一方通行は次の案へとシフトする。
一方通行(やっぱり俺自身が自力で結標を見つけ出すしかねェ。だがどォやって見つけ出す?)
一方通行(俺が知っている結標に関する情報はあくまで記憶喪失以降の情報だ。そンなモンあったところで糞の役にも立たねェ)
一方通行(そンな状態でいくら闇雲に動いたって見つけられる可能性はほぼゼロに近い。やるならヤツの記憶喪失前の情報が必要だ)
一方通行(けど、そンなモンどォやって手に入れる? 書庫(バンク)のデータなンざ一般人が容易に手に入れられるモンじゃねェ)
一方通行(施設でも襲って無理やり手に入れるか? いや、そンなことすりゃ俺がアンチスキルを敵に回すことになる)
それに情報を得たところで確実に結標を見つけ出すことが出来るとは限らない。
そんな不確定なものの為に、学園都市の治安組織を敵に回すのは割に合わないどころではない。
自分の中でその案を却下する。以降ひたすら頭を働かせるが別の案は生まれなかった。
一方通行(クソっ、何で俺はそォいう関係のデータっつゥのを持ってねェンだ? あンだけゴミクズどもと接してきたっつゥのに俺には何にも残されちゃいねェじゃねェか)
一方通行(せいぜい残ってるっつったら、冥土帰しからもらった超能力者(レベル5)の……待てよ?)
一方通行の口角が釣り上がる。
まるで獲物を見つけた狩人のように。
一方通行「あンじゃねェかよ。俺にもまだ手段っつゥモンがよォ」
そう呟くと一方通行は首元にある電極のスイッチを押す。
バッテリー切れ間近の警告音が公園の中に鳴り響く。
ドンッ、という地面を抉るような音を上げて、一方通行は再びビルの上空を飛んだ。
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