82:名無しNIPPER
2021/06/24(木) 16:06:09.72 ID:I9OmqLYR0
少女はそう言って、陽だまりに溶けてしまいそうな笑顔を浮かべて、手のひらに何かを握らせた。
「じゃあね!バイバーイ!」
少女は信号機の向こう側で待つ両親の元に駆けて行く。
自分の声すら聞こえない程の豪雨の中でも、不思議と、その少女の声だけはハッキリと聞こえた気がした。
その少女から貰った物を確認するのに手のひらを開く必要はなかった。
握りしめた拳からは銀色のスプーンがはみ出している。何の変哲もない先の割れたスプーンが。
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