17:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:54:59.84 ID:YBAOIjLn0
「むむ……サイキック不調ですかね……夕日の力を借りてスプーン曲げに挑む作戦は悪くないと思えたんですが……あ、ところでどなた様でしょうか?」
「あ、えっと俺の名前はイツキ、樹木の樹って書いてイツキ」
「成程イツキさんですか! いいお名前ですね! 私の名前は堀裕子! サイキッカーです!」
「あぁ……なるほどサイキッカー……」
18:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:55:57.15 ID:YBAOIjLn0
「あっ! その顔は何言ってるんだこの美少女って顔してますね……?」
「あっ……うん」
少なからず図星だった。彼女が美少女であるかどうかはともかくとして、何言ってるんだコイツって顔をしていたのは多分出ていたんだと思う、顔に。
「ふふふ……では今からズバリとイツキさんが何故この教室のドアを開けて私に話しかけたのか、それを当てて見せましょう」
「それはイツキさんがこの『超能力同好会』に興味があったからですね! 私には分かります!」
19:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:56:51.53 ID:YBAOIjLn0
3.五月
それから俺は色々あって半ば無理やりの形だけれど『超能力同好会』に入部した。
自信満々に答えた彼女の鼻を折る気にもなれなかったし、それに俺はこの旧校舎に一人で居すぎたせいで
20:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:02:49.34 ID:YBAOIjLn0
これは俺が彼女と知り合ってしばらく経ってから知ったことなのだけど、どうやら彼女はこの学校では割と有名人の立場に居る人間らしい。
それこそ堀裕子と聞けば、この学校の誰もが「一年の超能力少女だっけ」だとか「あぁユッコちゃんね」って思い浮かべるられるぐらいには。
まぁ確かに彼女は自称サイキッカーで成績もかなり目立つ方だし
自らを美少女と公言できる程度の顔立ちも持ち合わせてはいるからm言われてみれば確かに目立つ方ではあるのかもしれない。
21:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:04:39.48 ID:YBAOIjLn0
「お前さ六組の堀って知ってる?」
その日は弁当を食ってたんだったか、購買で買ったパンを食ってたんだったか、別に俺が何食ってたかなんてどうでもいいんだけど、
一度さりげなく友人に聞いてみたことがある。
「なに?お前ユッコと関わりあんの?」
22:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:05:18.79 ID:YBAOIjLn0
「ん〜あ〜ユッコか〜ユッコなぁ〜あいつはあれだよな胸がでかい」
「またお前それかよ、しょうもねぇな」
「あ、あとあれだな顔が良い」
「お前ほんとそれぐらいだな」
「ん〜まぁな、でもお前にだけは忠告しとくけどよ」
23:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:06:16.85 ID:YBAOIjLn0
藤井のその言葉は正直、思い当たる節が無い訳では無かった。
初対面の時から既にあっちは俺の事を下の名前呼びだったし、俺の「堀さん」って呼び方も
「私の事はユッコと呼んでください!是非!」でとうに押し切られてしまっていたから。
「まぁそんぐらいなら免疫のない男子が落ちるぐらいだろ、そんなに問題か?」
24:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:08:15.21 ID:YBAOIjLn0
ユッコには悪いけれどこれも思い当たる節しかなかった。
何と言うかこれは彼女を知っている人間なら分かると思うのだけれど
彼女の持つ雰囲気にはおおよそ知性を感じさせないそう言った物がある。
それに加えて実際にアホなのだから、藤井のその評価も妥当だと思えた。
25:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:09:11.21 ID:YBAOIjLn0
「だからよ、これは俺からのアドバイスだけど、もし少しでもあいつに興味があるならとっとと告白してさっさと振られた方が身のためだぞ」
藤井は手元のパンの最後の欠片を口元に放り投げてそう言った。
「余計なお世話だよ、別に興味もねぇし、そもそもお前も彼女いねぇのに何様だよ」
「るっせぇな、作ってないだけって何回も言ってんだろ」
26:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:10:21.59 ID:YBAOIjLn0
4.七月
俺と彼女が話すときは決まって時間は放課後だった。
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