【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
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56:いぬ ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/06/11(金) 23:50:39.50 ID:CF0co4jI0
――五月某日。

 春が過ぎ、梅雨に差し掛かろうかという時期。
 天津神がこの戦いを見定めんと睥睨しているかのように、余りにあっぱれな晴れ模様がターフを照らしていた。
 トレーナーとスペシャルウィークは、青々と茂る芝の美しさに目をやりながら談笑していた。

「ついにメイクデビューだな」
「ど、どうしよう……! なんだか緊張してきました……!」
「……はは、大丈夫大丈夫。よほどのことが無ければ勝てるさ」

 トレーナーは呵呵大笑とスペシャルウィークの言を笑い飛ばす。
 スペシャルウィークは、そんなトレーナーの横顔を覗き込みながら頬を膨らませる。
 からかわれたかのように感じたからか、それともよほどのことが無ければ、という縁起の悪い言葉を使われたから、だろうか――。
 いずれにせよトレーナーにはわからない。だが、その言葉がスペシャルウィークの緊張を多少ほぐしたのは事実だ。
 いつもの素朴な表情を取り戻したスペシャルウィークは、トレーナーの意図をふと察してほほ笑んだ。
 ブルネットの髪が、そよ風に揺れる。

「トレーナーさん、ありがとうございます!」
「何のことだ?」

 トレーナーは飄々として言葉を受け流す。
 暖簾に腕押し。スペシャルウィークは、トレーナーのつかみどころのない立ち回りを奇怪に思いながらも、しかしその余裕ぶった態度に安心を覚えていた。
 今にでも口笛を吹いてやろうとする、少し髭の伸びた横顔。笑うと目のところにしわが寄って――ついでにからかうような言葉が飛んでくる。
 スペシャルウィークは、今までトレーナーとの間柄に関して、具体的な言葉を探すことをしなかった。――否、やろうとすら思わなかった。
 そんなことを考えなくても、トレーナーはトレーナーだったから。ただ――今ならば断定できる。スペシャルウィークは心中で一人ごちった。

――トレーナーさんは、私のパートナーだ。

 蒼天に駆ける風が、ブルネットの髪を激しく揺らした。




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