小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
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57: ◆bhlju8wMK6[saga]
2021/06/07(月) 23:03:27.90 ID:RHOuKnm+0

…… ザワザワ…… チリンチリン…… プップー…… ザッザッ…… ガヤガヤ……

トール「え…………………………」

小林「…………………………」

トール「小林さん……? ははっ、ちょっと、何言ってるんですか……?」ヨロッ

トール「私ですよ、トールですよ? あなたの、メイドの……っ!」

トール「小林さん、ねえ、小林さんまで、私の事、忘れちゃったんですか……?」ジリッ

小林「……えっと、その…… ごめんなさい、覚えて、ない…… です」

トール「…………………………っ!!」



トール(――ああ。そんな困った様な瞳で私を見ないで)

トール(そんな、いかにも本当に小林さんが、初対面の相手にしそうな態度をしないで)



小林「その、人違いとかでは…… いや、ない、ですよね、その反応だと。“小林”ってはっきり言ってたし……」タハハ……

小林「いえその、本当にすいません! そちらは私の事良く知って頂いてる感じなのに、本当に失礼をしてしまって……」アセアセ



トール(そう…… 優しい小林さんなら、初対面の相手であってもきっと、こんな風に相手を傷つけない様、一つ一つの言葉を慎重に選んで話すだろう)

トール(それが小林さんだ。私が大好きになった小林さんだ。でも……っ)ギュウウッ



小林「ちょっと待って下さいね…… えーほんとヤバいな…… こんな可愛くてしかもメイド姿の子なんて絶対忘れる訳ないんだけどな……」ブツブツ

小林「えー、トール、トール、カンナ、カンナ…… 金髪、メイド…… メイドカフェ? いや店の営業って感じじゃ……」ウーンウーン……



トール(いっその事、冷たく突き離してくれれば。『誰だお前は』なんて言って、汚い言葉で罵ってくれればいいのに)

トール(じゃないと、認めなくちゃいけなくなる)



小林「あ〜も〜、何やってんだ私! 思い出せ思い出せ思い出せ、失礼にも程があるだろ〜……!」グヌヌヌヌ

トール(正真正銘本物の小林さんが、本当に私の事を忘れてしまった事実を、認めなくちゃいけなくなる……っ!)



トール「―――――――――――――――」ポロッ

小林「あっ……(涙……)」

トール「――――――」ポロポロポロ

トール「―――――っつ!!」クルッ タタタッ!

小林「あっ、ちょっと、待っ……!」

トール「―――――………!!」タッタッタッタッタ……



小林「……あ…………………………」ポツン

…… ザワザワ…… プップー…… ザッザッ…… チリンチリン…… ガヤガヤ……




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