32:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:45:14.22 ID:emsexCaj0
レース当日。
タキオンのコンディションは最悪だった。
頭が痛くて、身体が重くて、脚が痛くて、
まともに走れるとは思えない状態だった。
流石に新しいトレーナーも、その状態のタキオンに気がついていた。
怒るかなという予想に反して、すまないと、力不足を謝られた。
彼女に合わせる顔が無いと、ずっと俯いていた。
悪い人間じゃないと、思った。
少し、申し訳なかった。
レースを辞退するかという申し出に対して、タキオンは首を振った。
絶対に一着をとると言い張った。
自分は一体、何がしたかったんだろう。
馬鹿そのものだ。
無駄に身体を痛めつけて、忠告も無視して。
自分を心配してくれる人も、力になってくれる人も無視して。
こうなることが分かっていながら、負けないと喚きながら、間違った方向にずっと進み続けて。
こんなに酷い状態で、レースに臨んで、
それでも、一着を取る気でいる。
スタート地点に進んだ。ルドルフがタキオンのことを少し窺っていた。
タキオンは、ぼんやりと、考え事をしていた。
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