6:名無しNIPPER[sage saga]
2021/04/03(土) 21:24:15.56 ID:4B3dgK4pO
「アスカ、僕も行くよ」
家出したシンジが帰ってきて、しばらくケンスケの仕事を手伝って、そして初期ロットを看取り、自分もヴンダーに戻ると口にした。
未調整の初期ロットが長くは保たないことは最初からわかっていたことだったけれど、だからと言って設備や薬のないこの第三村では処置出来ず、初期ロット自身もNERVへ戻ろうとせず、だから、どうしようもなかった。
14歳のままのシンジなら、その現実を受け止められずに喚き散らしていただろうけど、今のシンジはその喪失をしっかり受け入れた。
私が使徒に侵食、寄生され、使徒として処理せざるを得なくなった時、当時のシンジは選択から逃げた。選ばないことを選んだのだ。
同じくえこひいきが使徒に取り込まれた際には救うことを選んだ。けれどそれが原因で世界は壊れ、現実に絶望し、挫けてしまった。
今の成長したシンジならどうするだろう。
今更、訊ねる気はなく、必要も感じない。
その答えはこの目で見届けると決意した。
「じゃ、これ規則だから」
テーザー銃を突きつけて、引き金を引いた。
意識を失い倒れ込むシンジを相田ケンスケが抱えて苦笑した。いつも苦笑させてしまう。
「運ぶの手伝ってくれて、ありがとう」
「碇は俺の友達だからな」
たぶん、物欲しげな目をしていたのだろう。
「もちろん、式波も俺の友達だよ」
友達。ずっと欲しかったもの。憧れの関係。
「碇のこと、頼んだぞ」
「ん。善処する」
私は私に出来ることをする。それ以外のことは他に任せる。全て独りでする必要はない。
それを理解出来る程度には私も成長してる。
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