15: ◆Kg/mN/l4wC1M
2021/03/19(金) 12:13:27.60 ID:wEzeH4cQ0
そこから先はあまり記憶に残っていない。
投げかけられる質問に、予め想定していた内容を答えた。
ある時高木社長の携帯電話に、何件かの着信が続けざまに入った。
高木社長が一旦退室して電話で確認したところ、どうやら緊急の用事である場所へ出向かなくてはならなくなったそうだった。
代わりの者がすぐに来るから、もう少しだけここで待っていてほしいと言って、社長は部屋を後にした。
部屋の中一人になった私は、深呼吸した。
仮に私が事務員として入社したとき何ができるかについて、自分の言葉で伝えられたとは思う。
けれど、自分を十分にアピールできたかといえば、どうしても不安が付き纏った。
そんな弱気な気持ちを振り払おうと、頭を横に振った。
今の私にできることは、質問内容を想定して、出来る限り準備することだけだ、と。
こう聞かれたら、どう答えるか?
もっと分かりやすい表現はできないか?
思考を巡らせ各々に答えを出すたびに、少しずつ緊張が解れていくような気がした。
その時、唐突に部屋の扉をノックする音が聞こえた。
私は驚いてしまって、肩を揺らした。
自分の身だしなみをちらりとだけ確認してから、その後で扉の向こうへ返事をした。
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