8:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 22:29:04.76 ID:2kLflUvfO
両親は二人とも口数が少なく、
思い出せる限り、温かな家族団らんってものを味わった記憶は僕にはなくて、
夫婦仲は険悪なのだとすら思っていた。
だけど、二人同時に天使になって飛んでったところを見ると、
意外にも両親の間には何かが残されていたらしい。
愛だか絆だか、なんかまあそういう何かが。
天使になった人たちはどこかへと姿を消す。
大勢の人が天使になった今でも、
天使が空を飛ぶ姿はほとんど見つからない。
どこか遠くの場所でひとかたまりになっているのか、
それとも空の向こう側に消えてしまっているのか。
僕には分からない。
ともかく、両親と会うことはもうないのだろう。
小さくなっていく両親の背中を見ながら、僕はそう思った。
それから漫画を百冊単位で読みきるくらいの時間が過ぎたが、
僕はまだこうして取り残されている。
天使にならず、地に足のついたまま。
なぜだか。
87Res/55.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20