37:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 23:58:43.39 ID:2kLflUvfO
くだらない話をしながら歩を進める。
靴とアスファルトのこすれる音が静かな園内に響く。
「なんか、変だな」
38:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:00:30.98 ID:j5Vg4AXZO
「先を越されたってとこかな」と彼女は言う。
「つまり」僕は言う。
「飼育員か誰かが、とっくに動物たちを逃がした?」
39:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:01:36.08 ID:j5Vg4AXZO
「しかたない、今日は撤退しよう」
彼女は大きく伸びをして、両手を頭の後ろで組んで、
諦めたように言う。
「だーれもなんにもいないんじゃ、何もできない」
40:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:02:14.93 ID:j5Vg4AXZO
入口まで戻る。
自転車のハンドルに手をかける。
「さあて、ここからが本番だ」と大仰に彼女が言う。
41:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:03:26.86 ID:j5Vg4AXZO
高らかに笑いながら彼女は自転車をこぎ始める。
全力の立ちこぎ。
実に、楽しそうに。
42:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:05:14.34 ID:j5Vg4AXZO
***
で、次の日からも彼女に連れ回される日々が続くわけだ。
43:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:06:21.91 ID:j5Vg4AXZO
・図書館の書庫に忍び込んでみる
「暗くて埃っぽくて全然見えない」
44:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:06:59.22 ID:j5Vg4AXZO
・試乗車を遠慮なく乗り比べまくる
「すげえ少年、シートの座り心地超良いぞ!
助手席乗ってみなって!
45:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:07:42.30 ID:j5Vg4AXZO
・明け方の海で花火をする
「寒い! 風強え! 花火どころじゃねえ!
冬の海を舐めるな!」
46:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:08:23.70 ID:j5Vg4AXZO
・交差点でゲリラライブ
「これもうやったろ、しかもまた同じ場所で」
47:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 00:09:30.33 ID:j5Vg4AXZO
言われたとおり向かったHARD OFFの楽器コーナーで、
ひとしきりギターやベースを触ってみて、
こりゃ素人がいきなり演奏するのは無理だと諦めて、
フィーリングだけでどうにかなりそうな打楽器を僕は選択した。
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