3: ◆EWEMYNRbD6
2021/02/05(金) 02:07:34.70 ID:Yv8aGTuH0
オーキド「サトシや」
サトシ「なに、博士」
食事した後にハナコを休ませている間、二人は食器を洗っている。
オーキド「サトシは旅をこれからも続けるのかね?」
サトシ「……正直、迷っています」
オーキド「そうか。どうしてなんじゃ?」
サトシ「この歳で定職にも就かず、ポケモンマスターにもなれず。旅は楽しいですが、以前のように純粋には楽しめなくなっています」
サトシ「同い年のトレーナーが少ないので旅仲間もできないという点では寂しさもありますね。子供を見ると懐かしさで胸が痛みます」
サトシ「極めつけに今回のことです。結果的に大事には至らなかったけどママが倒れて、俺は旅なんてしてる場合なのかと」
サトシ「ママを心配させたくないという思い、ふらふらしてる自分の情けなさ、もしものことがあったらママはどうなるんだろうとか考えると、もう」
サトシ「金銭的な援助もしてもらっているので、そもそも旅自体がママの負担になっていたんです。これ以上負担を増やして疲れさせたくない」
オーキド「サトシなりに考えてはいたようじゃな。ポケモントレーナーでは珍しくもない悩みじゃが、30代にもなると答えを出すべきなのかもしれん」
暗にトレーナーを辞めよと言っているのか一般論を語っただけなのか、サトシにはわからなかった。
オーキド「それにしても後ろ向きじゃのう。旅仲間がいないと色々と考えこんでしまうのかもしれん」
オーキド「かつての旅仲間と近況報告をしてはどうかの?新しく見えることがあるかもしれんぞ」
サトシ「近況報告ですか」
サトシは正直気が進まなかった。今の自分を誰かに見られることは恥ずかしく思えたのだ。
ハナコ「何の話?」
サトシ「うわあママ、何でもないよ」
オーキド「ああ、タケシやカスミと会ってはどうかと言っていたところなんじゃ」
サトシ「え」
ハナコ「まあ良いわね。何年ぶりになるのかしら」
サトシ「と、とにかくママは休んでて!俺が家事やるから!」
ハナコ「ありがとうね〜。じゃあお先にお休みするわ〜」
ハナコは寝室へと向かう。
サトシ「でも、確かにあの二人が何をしているのか少し気になるな……」
オーキド「久しぶりじゃしのう、直接会ってみると良い」
流れで決まったような気もするが、サトシは二人に会うのが楽しみになってきていた。
あの二人にコンプレックスを抱くことは、まず無いだろう。
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