玉座の間にて
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31: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 09:53:49.19 ID:ewOe4rJE0

命を奪いに殺到した我らを前に、なんと傲岸不遜なことか。
我らなど、とるに足らないということか。湧き上がる怒りに、凍った手足がじわりと溶けていく。
一門の全てが、同様の怒りを感じているのだろう。みな、一歩また一歩と魔王へと歩み寄る。

「ちがう。そうではない……」

大叔父上が呟いた。

「魔王が見ているのは、我らではない。その焦点は、我らの背後に広がる城下の大戦だ。軽く見られているどころではない、我らは宙に舞う埃や何かと同程度にしか思われておらんのだ」

その言葉を裏付けるかのごとく、魔王は漸くこちらに視線を落とした。
それこそ、大叔父上の声を聞くまで我らに気づいていなかったかのように。

「なんだ、人がいたのか」


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