玉座の間にて
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28: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/11(木) 09:29:45.21 ID:oNIrsuw50

背から放たれた祖母の悪態に、胸のあたりがカーっと熱くなる。
昔からそうだ。俺に限らず、我が一門は誰一人として臆病者と呼ばれることをよしとしない。その言葉を、撤回させるためならば一族皆、平気で命を張るだろう。身体中を巡っている勇者の奔流が、まるで呪いのようにそうさせるのだ。

だからこそ、例え一族同士で仲違いを起こそうと、その言葉だけは決して使われることはない。使ってはならない禁句なのだ。だがしかし、祖母は敢えてその禁を破った。

おそらく、俺の中の迷いを見て取り発破をかけたつもりなのだろう。だとすれば、その目論見は見事に成功していた。いまや、瞬間的に湧きたった怒りに、俺の体から緊張は抜け全身に力がみなぎっている。

しかし、祖母の手のひらの上というのは実に気にくわない。

「腰が抜けてるのはババ様だろ」

俺の精いっぱいの反撃に、祖母は俺の頭をピシャリと叩き、フンと鼻を鳴らした。


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