玉座の間にて
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18: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/03(水) 22:35:20.36 ID:MC1F9erq0

「失礼。我が一門の話でした……。

―――そう。我らが先祖は、勇を示したからこそ『勇者』と称されたわけでございます。
それゆえに、その息子である二代目は自身が《勇者さま》と呼ばれること厭ったそうです。
何も成しえていない己は、決して勇者などではないと。

しかし、そんなこととは裏腹に領民たちは親しみを込めて、《勇者さま》と声をかけてくる。
二代目は領民の気持ちを慮り、忸怩たる思いながらそれを受け入れました。

二代目は、先祖の威光を笠に着るような罪悪感を覚え、加えて、己も魔王と相まみえることさえできれば、父と同じく勇を示せるであろうにというに勇者への羨望に苛まれたのでしょう。

その思いは我が一門に、脈々と受け継がれてまいりました」


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