【安価コンマ】貴方は世界を巡るようです 11巡目
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825: ◆Nq0wl2Ysns[saga]
2021/05/01(土) 02:35:15.32 ID:4dpztkeC0
アイナ「…………」

彼の頭を撫でながら幸せな時間を噛みしめていると、ふと考えてしまう。

こんなにも幸せな時間を過ごしていたら、いつか罰が下るんじゃないか? 幸せがどんどんどんどんと高くなっていった反動で、一気に下に落ちてしまうんじゃないかと。

神様がお前にこんな幸せは必要ない、だから没収だと言ってこの幸せな時間を取り上げてしまうんじゃないかと。

暗くて陰気臭くて……何をしても意味がない私にお似合いの。暗くて汚れている時間、現実に戻されてしまうんじゃないかと。

……怖い、怖い怖い怖い。あとで辛い思いをするなら、いっその事――――。

ワイズ「――――アイナ?」

アイナ「へ?」

ワイズ「……もう、アイナはすぐ思いつめた表情するんだから」

しょうがないなぁ、と言いながら。彼は「ん」と言って両腕を広げた。

――私は引き寄せられるように、そのふわふわの腕の中に入り込むと、彼は優しく抱きしめてくれた。

アイナ「あぅ」

すぐに思いつめて暗い顔をしてしまう私に対して彼が出した答え。優しいルーティーン。

「アイナが辛いときは、すぐに僕が抱きしめてあげるからね! そしたら少しは楽になるかな?」

なんてったって、僕の羽はふわふわで気持ち良いってもっぱら評判だからね! えへへ、アイナだけの羽にしてあげる!

…………ああもう、ワイズはずるい、本当にずるい。

ワイズ「大丈夫、僕はアイナから絶対に離れないよ……ずーっと一緒にいるからね」

劣等感の塊の私を、なんでこんな風に優しく受け入れてくれるんだ。

ワイズ「だからそんな不安そうな顔しないで。アイナの不安とか悩みとか……僕も一緒に抱えてあげるから、だから一人で抱え込まないでよ」

嘘みたいに優しい言葉が、折れた私の心に染みこんでくる。

ワイズ「……もう大丈夫?」

アイナ「うん……ありがと、ワイズ」

彼の腕から離れると、彼はえへへと太陽みたいに笑ってくれた。

――――君と一緒なら、私は……これからも挫けずに歩いて行けるだろう。

アイナ「あ、そうそう」

ワイズ「あれ、もうちょっとギュッと――」

これ、お礼ね?

私は、彼の唇に軽く自分の唇チュッと押し付けた。

ワイズ「――――!!?」

ああ、彼の顔がトマトみたいに真っ赤になった。

うーん……可愛い。


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