5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:41:30.47 ID:uyzFntxd0
豊橋の反応はいつも薄かった。
「そう」「うん」「ふぅん」「そう」「へぇ」「ええ」「そう」……何を話しても大体こんな感じだった。
食べ物には興味ないのかなぁ、あんなに美味しいのに……あ、ていうか俺ウザがられてるのか――なんて思って落ち込む時も一瞬だけあったけど、なんだかんだで俺の話は最後まで聞いて相槌を打ってくれるし、最近は「それは美味しそう」とか言ってくれる豊橋を見ていると、段々と対抗心のようなものが胸中に芽生えてきた。
――いつか絶対、豊橋の腹の虫が鳴くようなグルメ話をしてやる! 今に見てろ、そのポーカーフェイスを崩してやるんだから!
そんな野望を皮下脂肪のさらに下へと抱えこんだ俺の秋はあっという間に流れていき、やがて季節は晩秋へ駆け込んでいった。
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