10: ◆ivbWs9E0to[saga]
2020/12/18(金) 21:31:40.52 ID:dICjsRIu0
「あ、プロデューサーさんは何時ごろ来たんですか?」
「カメラさんと少し話したかったから、5時半には」
「それなら」
空は綺麗でしたか。と聞こうとして、何故だか口が動かなかった。そして気付いてしまった。誰にも言わずに、ポケットの中にひとつだけ飴玉を隠して持ち歩いているような、ちょっとした反発心。
あの空は、私と志保ちゃんだけの秘密。
「何でもないで〜す♪」
「変な可奈だなぁ」
「今日は朝からそんな感じなんですよ」
簡単なメイクを終えた志保ちゃんが戻ってきた。メイクさんが私の後ろでスタンバイしている。
メイクさんにもプロデューサーさんにも聞こえないように、志保ちゃんの耳元に手と口を寄せて、こしょこしょと。
「志保ちゃん、大根食べる?」
「じゃあ一口だけ……、なんでそんなことコッソリ聞くのよ」
「えへへ、みんなには秘密だからね♪」
「なにそれ。バレバレじゃない」
また志保ちゃんがふふっと笑った。
きっとまた、二人で。
おわり
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