16:名無しNIPPER[saga]
2020/12/15(火) 00:56:31.63 ID:Ccm8b4TeO
総長「なぜ野球を続けなかったんですか」
不良「……!」
総長「貴方は間違いなく素人でしたけど、並外れた才能があった。でなければ私の球をスタンドインさせることなど不可能です」
総長「それだけの才能がありながら、なぜ続けなかったんです。もし続けていれば私はこんなに……いえ、何でもありません」
不良「……俺が野球をやらなかった理由、か……」
不良「あんただよ」
総長「?」
不良「あんたがいたから俺は野球をやらなかったんだ」
総長「どういうことですか」
総長「まさか、私が野球を辞める原因を作った素人の自分が許せず、野球は続けなかったと言いたいんですか?」
不良「それもある。俺が不貞腐れちまった理由だからな」
総長「き、貴様ああああ!! 貴様も哀れみを向けるのかああああ!!」
不良「凄かったよ、あんたの球」
総長「!!」
不良「こんな格好になった経緯はさて置き、野球を続けなかった一番の理由は、あんたの投げる球が凄かったからだ」
総長「な、何を言って……」
不良「当時、俺は野球の面白さにドハマりしてよ。プロを目指そうかと思ってたくらいだった。何とか野球部に入らせてもらって、公式戦にも出させてもらって」
不良「打つ以外は試合にならないレベルだったから、代打しかやらせてもらえなかったけど、すげえ楽しかった」
総長「……」
不良「このままいけばマジでプロになれるんじゃねえかって考えてた。どんな投手の球も楽勝で打てたから、ホント調子乗ってたぜ」
不良「でも、都大会準決勝であんたと出会って、鼻っ柱を折られた。『こんなエグイ球を投げる奴がいるなんて』って鳥肌が立った」
不良「代打を送られて、打席に立って。なおさら『こりゃ無理だ』って思ったね。『こんなの打てるわけねえ』って」
不良「まあ、それでも何とか喰らいついて、悔いが無いように思いきり振ったバットがマグレで当たってよ。結果はホームラン、こっちの勝ちになったけど、二度とバットを握らねえことにした。こんな奴と何回も対戦しなきゃならねえ、プロのレベルの高さを思い知ったから」
女「そ、それじゃあ本当にマグレだったってこと?」
不良「ああ」
総長「う……嘘だ……そんなこと……」
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