キョン「9マイルは遠すぎる」
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4: ◆copBIXhjP6[saga]
2020/12/06(日) 15:42:55.55 ID:/JAVxUrS0
キョン「――――それで佐々木は言ったんだ」

佐々木『君は与えられた情報から理路整然と事実を推察することには長けている』

佐々木『ただ、何かを仮定することが苦手なのさ』

キョン「ってな」ズズッ

キョン「......うえっ、冷めちまった」

佐々木と同じ塾に通っていた頃、あいつは何度か俺に『推理ゲーム』なるものを出題していた。
立ち寄った喫茶店で、古泉から佐々木についての事を聞かれた――『機関』がどうって話じゃない。野郎同士の与太話だ――俺は、それを語りながら懐古に浸っていた。

古泉「おかわりでも頼みますか?」

キョン「いや、生憎修理代を払ったせいで財布が空っぽだ」

古泉「それはそれは」

これはお前に対する恨み節でもあるんだぜ、古泉。
しかし買い出し費用の大半を持ってもらった手前、電器店での出費について表立って言うことは出来なかった。

古泉「しかし、やはり佐々木さんは非常に面白い方だ」

キョン「そんなに興味があるなら紹介してやろうか?橘たちもセットだろうが」

古泉「それは適いませんね。またの機会ということにしておきましょう」

そう言ってこのニヤケ面は、ストローからコップの中を満たしている褐色の液体を吸い上げた。
こんな季節に何故かこいつはアイスティーを注文し、ウェイターが去ってから漸く「しまった」とでも言いたげに肩をすくめたのだった。

古泉「......確かに『正しく仮定する』というのは非常に重要なことです。ことさら推理においては」

キョン「イマイチ解らん。具体的に説明しろ」

古泉「彼女の作った『推理ゲーム』は非常に実践的なものだったという事です」

古泉「推理小説においては、謎を解く為に必要な情報を事前に読者へ全て提示しないのはルール違反とされています」

古泉「しかし現実は違う。実際の探偵は、不十分な情報に仮定を組み合わせなければ真実へ辿り着くことはできないのですよ」


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