88:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 01:08:39.52 ID:tRJaplXx0
それから、また稽古の舞台に上がった。座った大勢の盗賊≠スちに見守られながら、物語の続きを演じる。
《千夜ちゃん》だの《千夜》だのと声援があった。結構な年下からちゃん付けに呼び捨てか、とも思ったが、アイドルとしてはこちらが後輩だし、そもそもさして嫌でもない。可愛いモノ扱いが板に付いているんだな、と内心苦笑する。あの愛情表現を惜しまないちとせと暮らしていたのでは、常日頃から彼女のアイドルをやっていたようなものだったのかもしれない。
――アイドルか、と思う。ちとせは自分に何を見ているのだろう。珊瑚のような瞳の内奥に、千夜を打った光はどんな像を結ぶのだろう。知りたい。成りたい。一ミリだけでも近付きたい。まだ見ぬ偶像に、珊瑚の奥に。それ以外、想いがない。
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