白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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69:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 23:53:34.78 ID:6NLLeJ5C0
 言下の応答にぱちくり、とした目へ示すように、文香はトートバッグから蒼い本を取り出した。事務所のベンチで彼女が読んでいた、そして千夜に救われ墜落の憂き目を見ずに済んだ、例のハードカバーだ――どうも、さっき振りですね。

 無人レジにバーコードでも読ませるかのように真っ直ぐ提示された、その背表紙には金色で『ガラン版 千一夜物語 6』と彫られている。薄いフィルムで保護されているのは、文香なりの取り扱いというわけだろう。ふうん、と応じた。

「こういう装丁なのですね。覚えてお――」
「どうぞ」


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