白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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51:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 23:38:41.55 ID:6NLLeJ5C0
 艱難の果てに獲得した切符を、宝物ですとばかりに両手で握り、世間知らずのシェヘラザードはトコトコ戻って来た。目立たぬように、と急遽借りた(千夜が借りさせた)、腰にベルトの付いたグレーのキャスケット帽が上々の調和を見せている。彼女は恐縮するように言った。
「すみません…… お待たせしました」
「いいえ。行きましょうか」

 返すと、文香は薄く笑んだ。息が浅くなるほど蒼色だ。もっと堂々としていればいいのに、とやはり思う――貴女がそれでは、灰色の立場がないでしょう。
 ともあれ、黄緑のラインが引かれた電車に乗り込んだ。乗客の入りはそれなりにあったが、二人で座ることが出来た。



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