48:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 23:32:25.62 ID:6NLLeJ5C0
それはもう、気息奄々、祈りのように溶けていく声だった。千夜は真っ直ぐ見ていられなかった。この緊迫した状況を代わってさえもらえるなら、神谷氏と佐藤氏が直面したという九十七本の激辛ポテト地獄を自分が請け負ったのにと思った。
ちとせは満足したように文香を眺め回すと、今度は彼女の正面に立った。
「進化しなければ生き残れない。進歩しなければ今さえ守れない。《同じ場所に留まる為には》――」
「《全力で走り続けなければならない》」文香が受けた。「《どこかへ行くならその二倍》――成る程…… 確かに我々は、鏡の国に立っているのです。いわば時という盤の上に」
「あの、文香さん」
「アイドルという世界で、見知らぬ国で、私は、手前味噌ですが、新たな自分を投影すべく、常に全力を尽くして来たつもりです。それは誇りであり…… 誇らなければならない類の、責任でもあるでしょう。ですが、只今という見地に立って改めるに…… それは未だ生存本能の域を、超えはしなかったのかもしれません。
……プロモーション、ですか……」
「あはっ♪ 美味しそうになっちゃって。そうだよ女王サマ。決まりだね? 『魔法使い学』の試験は実技――どちらが好みのカップを贈れるか?」
「承知致しました……、女王陛下」
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