123:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 01:31:23.64 ID:tRJaplXx0
千夜は件の男を見遣った――ま、ブルーベースという顔だな。不健康なだけだろうけど。
「綺麗だ。な、千夜?」嬉しそうに彼。
「聞かれても困りますが」
「すぐにお礼言わなきゃな」と、スマートフォンを弄り出す。
ガラスタンブラーは、窓からの光によく映えた。キラキラが散らばり、模様の花々を彩っている。
ふと、空虚な思考に囚われる。この光が元を辿れば彼の見せたものだというのなら、文香の瞳は本来違う色だったのではないか。それが今の蒼さを得たのは、何かを追いかける者の瞳が、映す輝きの一端を、写し取らずにはいられないからなのではないか。
圧倒的なものに支配された感覚の、尾を引く充足と憧憬が、それを追う瞳の中で散乱し続けるのだ――でもまあ、色までは変えないか。
変えられるものなら、千夜の瞳はとっくに紅や金でなければならない。
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