白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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106:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 01:20:00.15 ID:tRJaplXx0
 ……
 ――何がなんだか分からない! 千夜は困惑しつつ、ある瞬間、志希の眼に妖しいものを見つけた。ああいう類のカオには覚えがある――戯れ≠セ! ほとんど狼狽え、後退りして距離をとった、が、志希はお見通しというように回り込むと、弾こうとする手も退け、背後から抱き付くように千夜を捕らえた。ぎょっとして、振り払おうと試み、腕を振り回したり身体を屈めてみたり、踵や脛も使ったが、彼女は反射的以上の速さで巧みに受け流してみせると、ついには千夜の両腕をぐいと掴み上げ、抵抗を諦めさせた。

 磷にされたような間抜けなポーズもそうだったが、より屈辱的な気持ちをもたらしたのは、志希が千夜の右の首筋に顔を寄せ、小刻みに鼻を動かしているらしい、その呼吸音を間近に聞かされる事だった。千夜は再度応戦を試み、首に無理を利かせ、顎の骨で志希を押し返そうとしたが、これもすぐ諦めざるを得なかった。じゃれあい以上の効果が現れなかったうえ、傍目から見た自分をより滑稽な存在に仕立てあげているに違いなかったのだ。短い争いが巻き上げたか、土の匂いが少しした。陽光に当てられ、身体が火照りを覚えていた。




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