7:名無しNIPPER[saga]
2020/11/30(月) 23:57:17.45 ID:66GqGXz40
「おーいお前、なに見てるぴょん」
心臓が喉まで飛び上がった。3頭犬に備わった3つの頭が
6つの可愛らしいつぶらな瞳が
男を見ていた。
「次はお前だぴょんよ」
男はなにも言わずに、一歩下がろうとする。
「ぐひひひひひひひっ!」
よだれをまき散らしながら、一気に跳躍した3頭犬が男に覆いかぶさった。
「お前の翼はどこにあるぴょん???お前の瞳に映った怒りと絶望は死んだあとどこへいくぴょん??早くおしえてぴょん????」
3頭犬の爪が胴体にくいこみ、肺が空気に押し出され悲鳴をあげている。
男「…っ…」
それから、無理やりうつ伏せになるよう前足で転がされる。
「あれれ、お前、神族に近い気配があるくせに翼はないぴょん。あの方とおなじぴょんねえ。ぐひひひひひひひっ」
3頭犬は心から、おかしそうに笑った。地面が揺れるほど、しっぽを叩きつけて、哄笑した。
しばらくよだれを男の上に垂らしたあと3頭犬は、男に告げる。
「お前おもしろくなる可能性があるぴょん!!だから、それまで生かしてあげるぴょん!これから辛くて死にたくなるだろうけれど、がんばれぴょん!」
そう言い残して、3頭犬は男と「白鳥」を置いてどこかへと走り去った。
男「がんばれって言われても、な」
男はその気配がなくなったことを確認してから、ゆっくりと立ち上がった。
怪我はないし、体中からひどい臭いがするくらいだ。
そして―――もとは白鳥、今は人型となった存在は、全裸で静かに横たわっている。
見るものをはっとさせる美貌と、背中に生えた翼。
男は、起こさないようにその子へ近づいた。
玉のような柔肌には、赤いみみずばれが幾つも走っているが恐らく問題ない。
だが、あの巨大な前足で抑えられたことによる内部出血は体中にひろがっていた。おそらくこれが一番の問題だ。
男は天を仰いだ。
「えっと、今から権丈を探しますから、待っていて下さい。きっと治ります」
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