佐々木「君は優しいね」キョン「炭治郎には敵わないさ」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/01(日) 20:07:33.30 ID:eKWbNwFOO
「やぁ、キョン。お待たせ」

結論から言って3人で映画は観れなかった。
レイトショーまで満席で、空席はなかった。
2枚しかないチケットは佐々木と妹に譲り、俺は映画館のベンチに座って跳ねた寝癖を無意識に撫でながら、映画が終わるまで待っていた。長男だから、別に不満はなかった。
もしも俺が次男だったら泣いていただろう。

「うわあああん! キョンくぅ〜ん!!」

どうやら映画に全集中で没頭してきたらしい妹は号泣しており、俺に飛びついてきた。
猪突猛進な妹の全開のおでこを腹で受け止める羽目となった俺は呻きつつも満足だった。

「君は優しいね」
「炭治郎には敵わないさ」

泣きじゃくる妹の背中を撫でてあやしつつ軽口を返すと佐々木は首を振って喉を鳴らし。

「やれやれ。僕まで泣いてしまいそうだ」

そんなことが本当にあり得るのだろうかと思い見上げると、髪留めを外した佐々木の前髪がはらりと顔を覆って、表情を隠した。

「なあ、佐々木」
「なんだい、キョン」
「チケット、ありがとな」

おかげで妹は映画を観れた。だから今度は。

「その礼と言っちゃなんだが、今度は俺に付き合ってくれ。チケットは用意しておく」

すると佐々木はくつくつと喉の奥を鳴らして、頷いた。少しだけ、鼻をすすりながら。


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