52: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:03:41.25 ID:V6x1Fopt0
大森さんは老眼鏡を外して真っ直ぐ鋭い目であたしに言う。
そうか……そうやって受け入れられていないのかと思っていたけど、
あたしはこのままで良かったんだ。
53: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:04:33.60 ID:V6x1Fopt0
54: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:05:51.18 ID:V6x1Fopt0
出演準備を始める頃、
スマホにプロデューサーからのラインで「急用で先に戻る」とだけあった。
そっか。
55: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:06:43.09 ID:V6x1Fopt0
ぎゅっと衣装のスカートの裾を掴み、
猫背になった彼女のマネージャーさんに
丸めた台本か何かを叩きつけた。
56: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:07:42.67 ID:V6x1Fopt0
「あんた何とかしてきなさいよ!」
「そう言われても、これはオーディションなんで……」
57: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:09:00.85 ID:V6x1Fopt0
あたしはこういうの、
他の現場のオーディションでも見たことがなかった。
他のアイドルと言うと我関せずというか、
58: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:09:58.05 ID:V6x1Fopt0
お下げ髪の女の子は、
帰ろうと腕を引こうとするマネージャーさんの手を叩き、
そのついでに殴る蹴る。
59: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:11:29.84 ID:V6x1Fopt0
「なによ! 合格したって言われてたの聞いたんだから!
あたしを笑いに来たの!? そうなんでしょ!
ハッ! どうせあたしはおちこぼれよ……!」
60: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:12:04.82 ID:V6x1Fopt0
「あのね、今日はたまたま落ちたんだよ。
あたしは貴方のパフォーマンスを見ていないんだけどね。
きっとすごく良かったと思うよ」
61: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:12:47.65 ID:V6x1Fopt0
あたしは……この時、どんな顔をしていたのだろう。
同情とか、この子みたいな怒りを持っていたわけでもない。
何も……。
62: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 18:13:16.40 ID:V6x1Fopt0
──数時間後。
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