198: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 21:12:34.55 ID:V6x1Fopt0
一人で強がっていても仕方ない。
情けなくても泥臭くても、頼れるものには頼って
自分の力になるものは何でも吸収しようと思っていた。
199: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 21:13:01.77 ID:V6x1Fopt0
帽子を目深に被って、マスクもしているのに、
目があった時、にっこりと微笑みながら小さく手を降ってきた。
あたしもそれに応えるように小さく手を降った。
200: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 21:14:04.32 ID:V6x1Fopt0
演技の勉強も必要かと思って
たまたま見たドラマに、
途中からレギュラーとして追加されたのが田中琴葉だった。
201: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 21:14:48.03 ID:V6x1Fopt0
駅の階段を二人並んで降りていく。
階段の照明は私の側だけ、
チカチカと消えかかっている。
202: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 21:15:32.70 ID:V6x1Fopt0
「でも、ひなたちゃんも凄いよ。
今回は……その、久しぶりのライブだから端っこだけど、
本当に存在感がすごい。私も飲まれないように必死で」
203: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 21:16:38.34 ID:V6x1Fopt0
「でも、ひなたちゃんも凄いよ。
今回は……その、久しぶりのライブだから端っこだけど、
本当に存在感がすごい。私も飲まれないように必死で」
204: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 21:17:47.88 ID:V6x1Fopt0
「あたしも、琴葉ちゃんの表現力にずっと惹かれてて……。
センターに立っていて、本当に輝いて見えるんだよね。
どういう気持ちで、踊ったり歌ったりしてるの?」
205: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 21:18:24.52 ID:V6x1Fopt0
少し歩いたあと、田中琴葉は静かに言った。
206: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 21:19:04.56 ID:V6x1Fopt0
「これはまだ秘密なんだけれど、
実はプロポーズをされていて……。
それを受けようと思うの」
207: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2020/10/09(金) 21:19:46.48 ID:V6x1Fopt0
これが、あの真面目だった18歳の女の子が選んだ、
アイドルのゴールなんだろうか。
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