82:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:20:44.57 ID:V4s4JV6AO
『ヂュイ!』
「は、ハム蔵!?」
なんと、電話の相手は話題のハム蔵だった。いやはや、まさか電話まで使えるとは思わなかった。
83:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:21:37.15 ID:V4s4JV6AO
「どこに行ってたんだよ!自分心配してたんだぞ!」
『ヂュイヂュイ』
「え?財布…あ、確かに…忘れてる…」
84:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:22:24.33 ID:V4s4JV6AO
「ごめんね、社長…自分が財布忘れてたから…」
「ははは!なぁに、何の問題もない。ハム蔵君が無事で何よりだ」
彼女にはこのまま家まで送って行くことを提案した。もう彼女の家は目の前だったから。
85:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:23:09.71 ID:V4s4JV6AO
「何ならお店まで送ろう。あれだけの家族がいたらご飯の量も多くなってしまうだろう?」
「え?いいの!?」
むしろ徒歩でどうするつもりだったのかと問えば、当たり前のように何往復もするつもりだったと言う。大人を頼ればいいと思うが、それが彼女なりの家族に対する責任なのだろう。
86:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:24:14.79 ID:V4s4JV6AO
「だから休みの日じゃないと中々行けないんだー」
「ふぅん、なるほどねぇ」
ハム蔵君と財布を連れて降りてきた彼女は付き物が取れたかのように普段の明るい調子を取り戻した。この笑顔を見られるだけで声をかけた甲斐があると、我ながら少々気持ちの悪いことを考えながら、店に向けて車を走らせる。
87:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:24:56.54 ID:V4s4JV6AO
「あ、ごめん、自分ばっかり話しちゃって…社長は何か喋りたいことない?」
「そうだねぇ…我那覇君、君は…他のプロダクションならばよかったと…思ったことはないかい?」
我那覇君から話を振られたので、彼女にも思い切って聞いてみることにした。すると…
88:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:25:39.48 ID:V4s4JV6AO
「うぎゃぁぁぁあ!?そんなの困るぞ!?そんなに危なかったのか…いや、でも新しい事務所もできたばっかりで…はっ!?もしかしてその時のお金が足りなかったの!?」
話がどんどん膨れ上がっていく。猪突猛進型の彼女はこういうことがままあるが…
「落ち着きたまえ。心配しなくても765プロは倒産しないよ」
89:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:26:30.32 ID:V4s4JV6AO
「良かった…じゃあなんであんなこと言ったの?」
「いや、だからね…」
私は我那覇君にも、今までの子たちと同じように説明することにした。
90:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:27:18.05 ID:V4s4JV6AO
「けれど、他の事務所なら…もっと資金力もコネクションもある事務所ならば、君たちの魅力をもっと引き出せたんじゃないかと考えてしまってね…特に君と四条君は、961プロにも居たから…」
「…うん」
我那覇君と四条君は961プロから訳あって移籍してきた。マスコミやネットを使って印象操作をする黒井のやり方は正しいとは思わないが、私と黒井、どちらが一般的なやり方かと言われれば黒井の方だ。
91:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:27:57.81 ID:V4s4JV6AO
「ははは、黒井の事務所とは大違いだっただろう?すまなかったね…」
「ううん…いや、確かに違ったけど別に謝ることなんて何もないぞ」
「しかし…」
92:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:28:45.80 ID:V4s4JV6AO
「自分ね、961プロに居た時は…デビューしてすぐに今と同じくらいの仕事があったし、練習の環境も確かに今と同じくらいいい環境でさせてもらってたぞ…」
765プロは今でこそ売れているが、それこそ彼女たちが移籍してきた直後はボイトレも毎回はトレーナーを付けられなかった。そんな環境でも彼女たちが頑張ってくれたからこそ今がある。
157Res/62.13 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20