106:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:40:46.53 ID:V4s4JV6AO
「時に四条君。君は…他のプロダクションならばよかったと…思ったことはないかい?」
「はて?他のぷろだくしょん…ですか?」
「あぁ、君は…765プロで良かったかな?」
107:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:41:36.72 ID:V4s4JV6AO
「愚問ですね。私は自分で選んでここに来ました。その選択に後悔などあろうはずがありません」
そんなモヤモヤと悩む私の思考を両断するかのように四条君はそう断言する。
「それは、何故かな?」
108:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:42:15.08 ID:V4s4JV6AO
「高木殿は私が765ぷろに来て、初めて出演したてれび番組を覚えていますか?」
「え?」
質問したのはこちらなのだが、彼女からも質問が返ってきた。
109:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:43:03.61 ID:V4s4JV6AO
「えーっと…たしか…『ゲロゲロキッチン』だったかな?」
あの時は音無君と一緒にリアルタイムで見ていたからよく覚えている。
「…私にはそれで十分なのです」
110:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:43:46.75 ID:V4s4JV6AO
「秘密とはすなわち壁。理解できないということは打ち解けられないということ…それは今までの人生の中で何度も経験してきたことです」
なるほど、彼女の性格は有名になった今でこそ広く受け入れられているが、以前はそうではなかったのかもしれない。
111:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:44:38.23 ID:V4s4JV6AO
「ですから、高木殿のように理解しようとしてくださる人は、私にとって必要不可欠な存在なのです」
「四条君…」
「『類は友を呼ぶ』と言います。社長の貴方がそういう人間で居てくれるからこそ、他の皆も私に対して優しく接してくれる…そんな765ぷろが私は大好きです」
112:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:45:17.96 ID:V4s4JV6AO
「ははは、ありがとう。少し安心したよ」
「こちらこそ、ありがとうございます」
「そのありがとうは、何に対してのかな?」
113:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:45:59.14 ID:V4s4JV6AO
10
「ただいま」
「お帰りなさい…って社長?どうしてこんなところに?」
114:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:46:47.49 ID:V4s4JV6AO
「まぁ、こんな機会でもないとどんどん現場からは離れていってしまうしね。今日はアイドルのみんなともたくさん話をすることができた。実に有意義な一日だったよ」
「そうですか…まあよくわからないですけど、それなら良かったです」
律子君はそう言いながら仕事を中断して、私のためにコーヒーを入れてくれた。思えば彼女からはお小言をもらうことも多々あるけれど、基本的には立ててもらっている。水瀬君とも似ているが、律子君の場合は体育会系的な目上を立てるという信念からの行動に思える。
115:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 21:47:55.06 ID:V4s4JV6AO
「ところで律子君、君にも少し聞きたいんだが…」
「え?何をですか?」
まあ私で答えられることならば…と謙遜まじりに返す彼女に、私は今日何度目かになるこの質問をぶつけた。
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