39:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 23:08:58.98 ID:66ORp3Ez0
勇者「多分、僕なんかじゃ到底理解できないような欲望を持った人はこれからも生まれてくると思う。そのほとんどはその欲望を抑えて生きていくけれど、その中の一部の人がそれを発散する機会を得てしまって、犠牲者が生まれる。もちろんその人達を罰することで、その人達が犠牲者を増やすことは防げるよ。でも、それだけじゃ被害にあう人はゼロにはならない。」
この人のように、と考えて魔法使いの手をぎゅっと握る。彼女は何か考えているのか、先ほどから下を向いて黙り込んでいた。
戦士「じゃあ、どうするんだ?」
勇者「分からないよ。でも、僕はそういう人たちのことを諦めたくないんだ。だから、知らないといけない。そしてみんなにも考えて欲しい。みんなと考えていきたいんだ。」
戦士「理想論だな。」
戦士が呆れたように、でも少し愉快そうに笑い、僕も「そうだね。」と笑った。
戦士「お前と旅をしてると、考えることばっかりだな。頭がいてえよ。」
勇者「ごめん・・・」
戦士「いいさ。前は気付かなかったが、こういうのも意外と悪くない。」
勇者「そっか、ありがとう。」
考え方の違う人たち、決して理解しあえない人達とだって、共に歩んでいく方法はきっと存在するはずだ。僕はこの旅の中で、その方法を探していきたいと思う。
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